実写版BLEACH感想
映画や漫画のレビューってする機会がないんだけど、結構語りたいところとかもあるもんで、今後は気が向いたらここに書いていきたいなーと思います。
ということで昨日観た実写版BLEACHの感想を書きます。
一発目だからかBLEACHだからか凄い長いけど今後はここまで長くならない...と思う。笑
ちなみに私はゾンビパウダーで久保帯人先生のファンになって、BLEACHは連載初期というか読み切りからずっと読んでいました。
最終章は通しで読み返してないのでちょっと忘れちゃってますが、大体は覚えています(破面編までは3回くらい読み返した)
それくらいのBLEACHファン度です。
■総評
少し甘めで3/5点くらい。
レビューサイト等を見ると評価は2分しているみたいだけど、映画あるいは漫画実写映画において何を重視しているか、原作のどういうところが好きかによって評価が極端になっているんじゃないかと推察します。
なので、人に勧められるかというとかなり博打かな...。
原作ファンなら観てみても良いけど、劇場で観た方が良いとは言えない感じです。
ざっくり書くとこんな感じでした。
<良い点>
・キャスティング(特に一護)
・戦闘の迫力、画作り
・上記の為の原作改変
・SEや音楽、挿入歌/ED曲
<悪い点>
・構成と脚本
・上記の為の原作改変
以下詳細に書いていきます。
ネタバレありなので注意。
■キャラ
全体的に良かった。4点くらい。
・黒崎一護
完璧。顔はもちろん身体も引き締まっていて手足が長く、原作の一護がそのまま実写になった感が凄かった。
福士蒼汰の演技は過剰気味だけど、一護は元々かっこつけなので違和感はなかった。
一護が画面に映って動いている間は本当に良い。アクションも良かったです。
正直これだけで観る価値があると判断する人はいると思う。それくらい完璧。
髪型の違いでよく指摘されているけど、それよりも演技が過剰で、こっちはそれが少し苦しかった。
主に脚本のせいなんだけど、どうもキャラが定まっていないように感じたかな...。
早口で抑揚がなく笑顔はほぼなし、言動も掟がどうのと言うので冷徹な印象を受けるんだけど、実際には最初から一護にバリバリ情を持っているし、情が湧いたという割には仲良くなった感もなければ表情の変化等もないので、うーんと首をひねってしまう。
アクションは頑張っていたけど、結局全体の画として見ると...髪型もね、似合っていれば別に良かったと思うんだけど、私には似合っているようには見えませんでしたね...。
他のキャストはキャラに寄せているのに、なんでルキアだけ変えたのか?という疑問が増幅しただけだった気がした。
・石田雨竜
ちょっとオタクぽさ増してるけど、現代に雨竜が居たらこんな感じだろうなというイメージでぴったり。
最後に挨拶するところは非常に良い画だった。
ただ、雨竜自体無理に出さなくても良かったのでは...ちょろっと出てきて共闘しただけで、一護と特に張り合うわけでもないし、殴らせろ!等のかっこいい台詞もなし。
ただ顔見せにきただけで、滅却師の話も全く絡まないのでかなり薄いキャラになってしまっているように感じました。
あと何で恋次の名前知ってたんだろう。それは要らなかったんじゃないかな…。
ここで赤髪を使うなら、やっぱりルキアはどうして...となってしまう。
それくらい一人だけ浮いてたし、ちょっとちゃちい感じがした。
あと、大きなポニテのせいで頭が必要以上に大きく見えてシルエットが悪かったのは気になった。
ただ殺陣は素晴らしく良かったです。舞台の人らしい、さすがです。
(蛇尾丸になってからのアクションはちょっと大雑把な感じがしたけど...。)
関係ないけど、蛇尾丸ってあんな刀身でかいんだっけ?と思いながら観てて、後で確認したら元々でかかった。笑
・朽木白哉
演技が棒って言われてるけど、あれはそういう(冷徹な白哉の)演技じゃないのかな...。
ただ、その演技に対して喋りすぎ。睨みすぎ。もっと黙って見つめるくらいで良かった。
そしてキャラがブレてるというか、結局白哉が何をしたいのか全然わからなかった。
掟を守りたいのかルキアを守りたいのかわからないし、これはルキアもそうだけど、掟を守ることが人間を守ることに繋がるという話がないので、単にルールにうるさい人程度にしか見えない。
しかも2人とも自分の都合で(ルキアは一護の為だけど)掟を破るような発言・行動をしていて、言ってること違うやんけとなってしまった。
特に白哉は約束も守ってないし、ただのパワハラで怖い人にしか思えなかったよ...。
・同級生達
水色だけリストラされてて悲しい。ケイゴが特に良かった。
織姫はエピソードがないせいでただの一護に恋している女の子みたいになってたし、天然って感じでもなく本当ただの女の子だったのでは...という感じに。
茶渡含め続編とかの絡みで多少立たせようとしたんだろうけど、エピソード丸々削ってるので不自然なだけだったかなあ。絡ませないならケイゴと同じ扱いで良かったのに。
・家族達
個人的に長澤まさみはあまり好きではないんだけど、全員良かったと思う。
しかしカリンってカ↑リ↓ンじゃなくてカ↓リ↑ンなのね...知らなかった…。
微妙に姉妹の役割が入れ替わってる箇所があったけど、特に気になることはなかったです。
■構成/脚本
これは特別酷かったと言わざるを得ない。1点もあげられるか微妙なレベル。
今回のお話をダイジェストで書くと
・フィッシュボーン戦で一護死神化。
・すぐに死神の力を返してもらおうとしたが、一護の霊圧が下がっていて返せないので虚と戦うことで霊圧を高めようとする
・ルキアのことが尸魂界に知られ、一護が恋次に襲われる(顔見せのみ)
・雨竜が撒き餌を使って虚を呼び寄せ、一護が蜘蛛の虚と戦う(死神代行を了承する)
・すぐに白哉と恋次が襲来し一戦交え、罪を償うか一護を殺して力を奪うかの択を迫られる
・グランドフィッシャーとの因縁がわかり、倒す為に一護とルキアが特訓する
・グランドフィッシャー戦(墓→街中で雨竜と共闘)
・ルキアは死神の力を一護から返してもらい、尸魂界へ帰る
というような流れ。
一護の霊圧が下がってしまって返せない(今返すと一護が死ぬ)というのは改変としては特におかしくもないが、フィッシュボーン戦で特に傷も負っていない一護の霊圧がなぜ下がっているのかよくわからない。力を使い果たしたとか、一言あるだけで違うのに...。
その後一護が昔からグランドフィッシャーに狙われていたという話があるので、単に一護を鍛えたかったのか?とも思ったが、ルキアが初対面の一護にそこまでする義理もないしそんな描写もないし、多分本当に霊圧が下がってたということ...だと思う(すぐに力返してもらおうとしてたしね)
そして霊圧が下がっているのに剣が大きいままなのは何でなん(剣が霊圧の高さを示しているという話はなかったので別にいいけど...)
こんな風にするくらいなら、原作通りルキアの死神の力が自然に戻るまで帰れないからその間死神の仕事やってくれ、で良かったのではと思う(後々のこと考えると特に)
そして一護は死神代行を了承したにも関わらず、虚を退治する仕事はほとんどしていないのはとても気になっていたが、今思えばルキアはフィッシュボーンとグランドフィッシャーを倒しに来ただけのように喋っていたので、それは別にいいのかな?
特訓の描写なんか長々と入れるくらいなら虚退治をダイジェストででも入れろやと思っていたけど...まあそこは多分VFXのコストとかの関係ですかね。
ついでなので先に特訓の話をすると、これが本当におかしくて、普通に物理的な特訓ばかりやっていて、死神は虚を倒さないと霊圧をあげられないんじゃないの?と疑問が湧き出てくる。
特訓の最後で2人は若干仲よさげなので、多分絆が芽生えて的なことを表現する為のシーンなのかなと思うが、ちゃんと描写されていないので一護に情が移っていることが全然伝わってこない。空気感で見せるとか、会話や表情の機微で見せるとか、そういうのもないので、くっつけたようなジャンプ的展開にしか思えなかった。
次に、雨竜から滅却師の話があったけど、一切ストーリーに絡んでこないのも残念ポイント。
虚退治対決も結局していないので、なんで撒き餌を撒いたのか意味不明になっていたし、生き残って殴らせろ!そして僕を殴れ!とかの良いシーンが全くないので雨竜が何をしたいのかも何のために映画に出てるのかもさっぱりわからなかった。
最後の画は良かったんだけど、何で和解してるのかもよくわからないし。
思い切ってばっさり切った方が...とは思うものの雨竜役がなかなかにはまっていただけに難しいところかなぁという思いも。
次、白哉恋次がすぐに出てくるのはまあ、尺の都合で仕方ないのかなという感じ。
公園で恋次とやり合うのは画面的にちょっとどうなのと思わなくもなかったけど。
ただキャラのとこにも書いたけど、白哉がブレてて何したいのか全然わからなかったし、色々端折った結果無理やりな展開になっているように感じた。
力の譲渡は重罪、力を持った人間は殺さなくてはならない、よってルキアは処刑するし一護は殺す。という原作通りで良かったのではないのかな...改変するなら何で力の譲渡が重罪なのか、みたいなところを掘り下げる方面じゃないのか。
全体的にそうだけど、原作は長期連載故の矛盾や無理やりなところを別のものに差し替えようとして失敗した感じがする。掘り下げる方面でカバーすれば矛盾解消で原作ファンも気にならずwinwinだと思うんだけどなぁ。
次、グランドフィッシャーくん、キミ全然疑似餌使ってないがな!笑
狡猾さや残忍さが全くなく、単にでかくて強いのが怖い、って感じになってしまっていて...原作初期のエグさみたいなのがなくなってしまっていたのが非常に残念だった。
戦闘自体は迫力あったんだけどね...。
戦闘の舞台を街中にして画的な盛り上がりを作ったり、茶渡や織姫が一護の気配を感じるところに繋げていたのはありだったかなと思う。
しかしながら一護は仲間の為に頑張れる奴・不良っぽいけど仲間想い・周りの人間を助けたい、みたいな描写がないし、茶渡と織姫はエピソード丸々カットしてるので、全然深みがない。演出の繋げ方は上手かったけど、この演出いる?という...。
おせっかいキャラ感が薄れてるからまだいいにしても、なんで人を巻き込むような街中に逃げてきたのかよくわからないし...。
最後のルキアのシーンは、そこに至るまでの掘り下げが微妙だったので、ふーん、という程度にしか自分には感じられなかった。
ただここのルキアは本当に熱演で、ここまででルキアに対して違和感がなくなっている(あるいは最初からない)人は、それなりにジーンとくる...かな?
不満点を書き出したら長くなったけど、とにかくツッコミどころが多くて、全体として何をやってるのか、何を伝えたいのか全然わからない映画になっていたような気がする。
戦闘のかっこよさだけを見せたかったというならそこそこ良い出来な気もするけど、それにしちゃあ余計な要素(というか説明?)が多い印象が残ってしまった。
台詞も多くて...とはいえ会話のテンポそのものは悪くなかったんだけどね~、もうちょっとコミカルさも欲しかったかな?
とにかくキャラが設定に動かされてる感じがして、生きた人間(生きてないけど笑)の世界という感じがしなかったのが、BLEACH特にキャラが良いと思っているので非常に残念に思いました。
#ちなみにこの脚本家の映画やドラマ、ほとんど観たことなかったです。
パッチギとかマッサンの人らしいです。
■画作り/演出/戦闘
原作の空気をなかなかよく表現できていたと思う。
死覇装(特に白哉)が新品感があったが、そんなに気にならなかった。
カメラワークは平凡だけど、戦闘も含めてかっこいい配置・カットが多く、どこを切り取っても画になる感じだった。
ただ、ちょっと顔アップ多すぎませんかね...不必要にキャラに寄ってる場面も多かった気はする。
ルキアのドアップの後に織姫のドアップ見せられると、お肌から年齢差が...とか^^;
戦闘に関しては本当に良くできていて、さすがのVFXという感じ。
フィッシュボーンもグランドフィッシャーも迫力と怖さがあった。
(ただ、グランドフィッシャーに関してはもっと霊的な恐怖感を出して欲しかったけど)
俳優陣の殺陣もかなり良くて、恋次戦はお約束?のとんでも地上戦を展開していて楽しめた。
白哉は殺陣らしいことはしていないけど、構えから瞬殺!って感じで、強さが伺えてとても良かった...んだけど、ちょっと一護立ち上がりすぎでくどかったかな。
斬る、立つ、斬る、裾掴む、くらいで良かったと思うます。
戦闘に関しては一護もルキアも恋次もよくやっていたし、雨竜も出番はちょこっとだけど様になっていて、普通にアクション映画として盛り上がって楽しめたので、非常にグッドでした。
■音関連
挿入歌とEDは[Alexandros]。
ドロスの中でも重めのギターリフから入る曲ばかりで、BLEACHの世界とオシャレさを表すのに一役買っていた。
SEも安っぽくなく、曲も含めて戦闘シーンを非常に良い出来にしていたと思う。
戦闘シーン以外の曲については、ややわざとらしいところもあったけど、気になるほどでもなかった。
■まとめ
とにかく一護が良い、戦闘シーンが良い。お話部分がまるでダメ。
一護が出ているシーン、戦闘シーンが多いのでそこを気に入った人、あるいはお話の矛盾や無理やりさが気にならない人にとっては、結構な良作に思えるかもしれない。
私も楽しめたのは楽しめたけど、面白い映画だったとは言えないかなあ。
続編あったらまあ観るとは思いますけど、また同じ感じだったら辛い。
ただ繰り返すけど本当に一護が完璧で、この為だけに続編とか観たいなと思わせるパワーはあった。笑
(とはいえ尸魂界編が2時間に収まると思えないけど...)
まあでもこれでるろ剣と肩並べようっていうのはさすがにないかなー。
以上!